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ドイツの
伝統的なクリスマス

11月の終わりになると、寒さが厳しさを増すドイツでは、すぐにクリスマスの準備が始まります。
「アドヴェント」と呼ばれるこの時期には、今でも多くの家族が子供時代に馴染んだ懐かしい
クリスマスのしきたりを大切にしています。

家じゅうにはクリスマスクッキーを焼く香りが漂い、
家族それぞれが一年で一番大切なお祝いに向けてアイディアを出し合います。

窓辺にはシュビップボーゲン(クリスマスキャンドル)の柔らかな明かりが、
家族が帰宅する時に遠くから「お帰りなさい」と挨拶を送ります。
居間ではくるみ割り人形やお香人形がテーブルや棚に並び、1日の仕事の成果をねぎらいつつ、
静かに回るピラミッドは、師走の忙しい時期の心をやさしく落ち着かせてくれます。

プレゼントが揃い、クリスマスツリーの飾り付けが終わると、お祝いのムードは最高潮に達します。

ケーテ・ウォルファルトでは、ドイツのクリスマスの楽しさを世界中の訪問者に伝えると同時に、
この伝統あるお祝いが将来も続くようサポートしています。

シュビップボーゲン

シュビップボーゲンは、クリスマスピラミッドと同様、
エルツ山脈地方鉱山労働者のクリスマス伝統行事に端を発した木工民芸品です。
冬の弱々しい日差しが最も短くなるクリスマスの前後、夕暮れが迫ったエルツ山脈地方の町や
村を訪れる人は、窓ごとに灯された明かりに暖かく迎えられ、誰もが感激することでしょう。
窓辺に灯されたアーチ型の明かりが実はシュビップボーゲンなのです。
この明かりを窓辺に飾る習慣はその昔、鉱山労働者達が始めたものでした。
鉱夫達にはクリスマスの伝統的習慣として、クリスマス前の仕事日、控え室等の壁に坑道の入口を象徴する馬蹄型に安全灯を吊るし、過去一年間の安全を感謝し、来る年の無事を祈りお祝いをする慣わしがありました。また、坑道の入口の梁に安全灯を飾り、一年の無事を感謝しました。

この習慣からヒントを得て、エルツ山脈の鍛冶師ヨハン・テーラーが、鉄製のものを1726年に鉱夫組合へ寄贈したのがシュビップボーゲンの始まりです。そして変わった名称は坑道の天盤を支えるアーチ型の梁の呼び名から採られました。その後鉱山労働者達は自宅で自慢の腕を揮い、身近な木を利用したシュビップボーゲンを作って家庭に飾るようになりました。シュビップボーゲンにクリスマスモチーフの他に、鉱山労働者やその家族をモチーフにしたものが多い理由でもあります。

くるみ割り人形

くるみ割り人形は、ドイツを代表する有名な木工民芸品です。現在、私達が目にするような兵隊の姿をしたくるみ割り人形は1870年頃にザクセン州エルツ山脈地方で形を成したと言われています。
貧しいおもちゃ作りの職人達は、普段法の名のもとに有無を言わせず非力な市民を虐げる支配層を皮肉り、堅いくるみを苦りきった顔をして歯で噛み砕く姿に彼らを作り上げました。
間もなく王様や王子様、騎兵など他のモチーフのくるみ割り人形も生まれていきました。今やくるみ割り人形はクリスマスに欠かせない装飾品として世界中の人々に愛されています。

お香人形

ドイツの伝統木工民芸品であるお香人形の由来は、ザクセン州エルツ山脈地方の村・ザイフェンで、鉱山労働者によって初めて作られた1850年までさかのぼります。もともとこのお人形は「パイプをくゆらすトルコ人」をモデルとして作られたものでした。
当時、キリスト教徒が喫煙するのは好ましくないとされていました。一方クリスマスには教会で焚くお香を家庭でも焚く習慣があったので、人々は東方からやって来る香料商人に強い印象を受け、想像力をかき立てられ、お香を焚く香炉として、お人形にしたてたのでしょう。そして山の仕事が衰退の一路を辿る中、新たな生活の糧を求めておもちゃ見本市へ出店したことが契機となり、お香人形はドイツ中、世界中へと広まって行きました。お香人形のモデルには村の伝統的な庶民の職業が選ばれ、時代を反映し、今では実に様々なモチーフを見出すことができます。

クリスマス・ピラミッド

クリスマスピラミッドは、エルツ山脈地方鉱山労働者のクリスマス伝統行事に端を発した木工民芸品で、ドイツではクリスマスを楽しむ装飾品として広く親しまれています。エルツ山脈地方では古くから、クリスマスピラミッドがクリスマスツリーの代わりに飾られ、18世紀には大きな階段式のものが、クリスマス時期の教会に欠かせない存在となっていました。
19世紀では、エルツ山脈地方の家庭でも自家製のクリスマスピラミッドを飾るようになり、20世紀に入ると販売を目的として工房での生産が始まりました。エルツ山脈のクリスマス ピラミッドには、聖書物語の登場人物や鉱山労働者の仕事ぶり、あるいはクリスマス前の村の様子が小さな人形がていねいに組み込まれ、中央の回転軸の上に取り付けられたプロペラが、ろうそくの上昇気流でゆっくりと回るのが特徴です。

クリスマスツリー

なんと言ってもクリスマスのシンボル的存在ですが、その歴史は意外と新しく私たちが1番にイメージするような
クリスマスツリーは誕生してからまだ四百年も経っていません。常緑の木や枝を家の中に飾る習慣は、
キリスト教が作られるより前からドイツに根付いた信仰によるものでした。森が深く寒さの厳しい北ヨーロッパでは、
冬になっても緑を失わない木々に強靭な生命力を見出し、その枝を家の中に取り込み、春の訪れを祈ったのです。
この民族の風習に根ざした習慣はキリスト教に移り、市民層から貴族社会へ、
そして王侯貴族の結婚や海外へ遠征した兵士、また移民を通じて世界中に広まって行きました。
各家庭ではクリスマスツリーをクリスマスイヴに居間に立て、飾り付けをします。ツリーが真っ直ぐ立っているか、
枝ぶりは良いか、家族の論議は毎年尽きません。昔はろうそくを立てたツリーが主流でしたが、
今では電飾で飾ることが一般的になりました。ドイツでは白色の点灯しない電飾が好まれています。
そしてガラスボールや麦わら製、木製、錫製のツリーオーナメントなどを使って飾り付けを行っていきます。沢山の飾り付けが終わると、
家族がそれぞれ用意したプレゼントをツリーの下に置いたら、聖夜の準備が整います。